EPISODE 2 ―壁―



無事に神殿へ着いた私は、二人が待つ隣の部屋へ。ここは昔何処かの王が座っていたのであろう王座の間だった。しかし、今はモンスターが闊歩(かっぽ)して昔の煌びやかな印象を薄らげる。
ふと、左の壁を見ると何かが蠢いた(うごめいた)。私は手に持った杖を握り返し、雷の呪文を詠唱し始めた。
ん?違う、これはモンスターの気配じゃない。これは・・・
そう、壁の向こうで助けを求めていた二人だった。私は思わず噴出しそうになるのを堪え、
「何でそんな所に・・・(苦笑)」
二人はそこで狩りをしていてたまたま壁の向こうに落ちたと言う。
どうしたものか・・・。取りあえず、手を差し伸べた。瞬間、私の目の前が真っ暗に。
「あははは!Wizも落ちたぞ!(笑)」
ランドさんが楽しげに笑い転げてる。そして、師匠も・・・。
「アフォが増えた~♪」
だって・・・。そこに、先ほどのギルドの会話を聞きつけた朽岐さん、そして彼の傍に寄り添うように同行していたヴァルキリーのお姫様(名前は伏せます。了承は取っていないもので)。壁越しに挨拶を交わし、どうにか脱出の手立てを考えていた時。スルッと私の体が壁から外に。
「あっ!Wizが脱出した!」
そう、私は壁から解放されたのだ。
そして、もう一度、彼等を助けるべく手を・・・。
また落ちた。
皆に爆笑され、ちょっとだけ鎧が曲がった。
「でも、出れるもんねぇ~」
・・・あれ?・・・
「で、出れなくなった!(泣)」
曲がった鎧が引っかかり壁から抜けれなくなっていた。また、皆が笑う。恥ずかしいやら情けないやらで涙が出そう。
朽岐さんが
「ゲートスクロール使えば?」
分かっている、それを使えば町に戻れる。しかし、今の状況を楽しんでいるのだ。しかし、いつまでもここにいては埒があかない。皆でゲートスクロールを使い町へ・・・。



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